ホロスコープの基礎 #13
事実に即したMC=南中点の位置
「ホロスコープの愉しみ」の#13です。
ここからは「ホロスコープの基礎」をお届け致します。
最初は「ホロスコープ作成ソフト」に関してです。
ホロスコープ作成ソフトの注意点
「ホロスコープの愉しみ」のVol.3は、先の「ホロスコープの新世界」に続き、#13からは「ホロスコープの基礎」です。
初回は、すべての基本となる「ホロスコープ作成ソフト」のお話です。
専門知識を必要とせず、出生データなど基礎データを入れれば、誰でも「ホロスコープ」を出力し、手にすることができます。
その意味は、ソフトに不備があれば、そのあとの解釈や占断、またリーディングのすべてに狂いが生じることになります。
ここでは、基礎の基本に立ち返って書いてみます。
◆One-Point ここでは、プラシーダスにせよ、コッホにせよ、レジオモンタナスにせよ、キャンパナスにせよ、ハウスシステムを用いたホロスコープについてです。イコールハウスは除きます。
正解のホロスコープはどれ?
次の3つのホロスコープをご覧ください。
正しいホロスコープはどれでしょうか。
よく見かける左端の「A」ですが、間違いでおかしいところがあります。
デザインは「ホロスコープ作成ソフト」によってそれぞれ異なりますが、デフォルト(初期値、初期設定)で出力されるのはだいたいこのタイプです。
正しいホロスコープは「B」もしくは「C」になります。
「C」は見やすいように「B」をハンドメイドで作成しなおしたものです。
◆One-Point いろんな「ホロスコープ作成ソフト」があり、デザインはそれぞれに異なりますので一例です。また、ハウスホイールを用いたホロスコープではなく通常一般的にハウスシステムで出力されたホロスコープの一例です。
本物と偽物の違いはどこ?
間違い探しクイズです。
間違いの「A」と、正しい「B」は、どこが大きく違うのでしょうか。
お答えは、MC(Medium Coeli:メディウム・コエリ=南中点)の位置です。
MC=南中点は、「天頂」の代用です。
別名:ミッドヘブンと呼ばれることがあります。
天頂またMC=南中点は、その名のとおり、ご自分が生まれた出生地など占星地の頭上、真上なので地表に対して直角90度の位置でなければなりません。
ホロスコープで右に左にナナメることはなく、常に垂直なのが実際の正しいホロスコープです。
ASC=上昇点とMC=南中点を基準に、30度ずつ均等に12ハウス(室)を定めるのが、本来のハウスシステムだからです。
プラシーダス、コッホ、レジオモンタナス、キャンパナスのすべてそうです。
そのため、MC=南中点が正しくないと、ハウス(室)そのものが間違ってしまいます。
◆One-Point 数多くのハウスシステムがありますが、代表的には上の4つが多く用いられています。ASC=上昇点はとMC=南中点は共通ですが、何を基準にしてハウス区分をするかで異なります。
実際の「天頂」の位置
太陽の通り道である「黄道」(こうどう、おうどう)に沿って、ホロスコープで用いる星たちは動きます。
その黄道上の位置を写しとったのがホロスコープです。
日本で黄道は「天頂」にかかることはありません。
地球上のどこで生まれようと、天頂は真上で地表に対して垂直です。
日本の場合、北緯35度の明石市をはじめ、赤道に最も近い北緯24度の石垣島といえども、ギリギリながら黄道が天頂を通ることはありません。
そのため、星の動きと配置を写しとったホロスコープは、天頂の真南の黄道上を天頂の代理としてMC=南中点と呼んでいます。
MC=南中点と、その正反対に位置するIC=北中点の軸は、東の地平線上のASC=上昇点と、西の地平線上のDES=下降点の水平軸に対して、垂直に90度で交わります。
それを平面上に写しとったハウスシステムのホロスコープでは、必ず直角90度の位置関係になります。
「ホロスコープ作成ソフト」のデフォルト設定は、そのようになっておらず、事実と異なるために間違っているのです。
現実と異なれば、空の星の配置を忠実に写しとれるように、春分点を起点とした360度の度数で記しても、本来のホロスコープではありません。
どうやら、間違っていることに気づいていないようです。
◆One-Point というか当たり前すぎて指摘することも、指摘されることもない実情があるようです。そういったことは、現代占星術には往々にして多く見られるのですが、知ってか知らずか、解釈することに精一杯で余念がなく、どうやらスルーされているようです。
利便性に伴なう戦慄の弊害
パソコンの普及によって「ホロスコープ作成ソフト」は生まれました。
パソコンが普及しはじめたのは、1990年代中頃のWindows95あたりからです。
専門知識を必要とせずに、出生データさえ打ち込めば誰でも簡単にホロスコープを出力できるようになりました。
便利になったものです。
ですが、ホロスコープの基礎の基礎を学ばなくても、すばらしいホロスコープを手に出来ることから、昨今ではデフォルトで出力されたホロスコープで正しい「そんなものだ」と思っている占術師もいらっしゃるようです。
戦慄が走りました。
もっとも、プロであれば、ちゃんとしたホロスコープはどういうものか知っています。
「ホロスコープ作成ソフト」が登場する以前に、専門知識を持たれて、いちいち手計算でホロスコープを作成しておられたかたならとくにそうです。
上述は、近年まれに聞いた“ビックリ”ニュースでした。
◆One-Point 笑い話ではなく実話でした。ホロスコープを学び、ホロスコープの解釈を教える側が、そういった実状におちいっているということを聞いて、びっくりしたのです。問題は、それで当たり前、いいのだと何の疑念もお持ちになられていないことでした。
ハウスシステムを用いる
では、ここでご質問です。
「ホロスコープ作成ソフト」のデフォルト出力は、なぜ間違っているのでしょうか。
お答えは、次のとおりです。
「ハウスシステム」を用いながら、サイン(宮)で出力しているからです。
当然ですが、「ハ・ウ・ス・シ・ス・テ・ム」なので、通常のホロスコープはハウス(室)をメインとしたものでなければなりません。
ところが「ホロスコープ作成ソフト」は、プログラム上の都合もあってか、はたまた現代占星術が持つ事実誤認や勘違いゆえか、12サイン(宮)のほうを30度ずつに表示するように設定されているからです。
そのためネットには、いびつなホロスコープが当然ようにアップされ、出まわっています。
重要なことは、そのように12サイン(宮)に偏重したホロスコープを無意識にでも使い続けていると、知らないうちにズレた解釈になっていくということです。
12ハウス(室)が意識にのぼらなくなったり、アスペクトが部分的になるなど、「サイン(宮)」や「星」に偏ったホロスコープ解釈になってまいります。
すると、ご自分でも気づかないうちにホロスコープを正しくリーディングできなくなります。
もとより、19世紀中頃に発見された海王星の象意の影響のもとで誕生した現代占星術には、そのような事実誤認の弊害が認められましたので、そうならざるをえません。
一見、当たり前に思われていることですが、上記の内容には重大な齟齬(そご)が含まれていることが、後日、明確にご理解できるようになっていかれると存じます。
※「奥義講座のための基本の基01」を、リライトして掲載したものです。
◆One-Point 重要な指摘なのですが、プロの占星術師であれば、「そうなんだよ!」とご理解ご賛同いただけると存じます。初学者の方やアマチュアまたマニアの方ではなくプロの方で「何を言っているのか分からない」という方がいらっしゃいましたら、基礎から学ばれることをおすすめいたします。